狼は混乱する

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 誘うように微かに唇が開いてしまう。  ローが掠れた声で囁く。 「あなたが、俺に対して力を持ってるってことです。  巣に連れ帰り、めちゃくちゃにしてしまいたいと……そう思わせるだけの力をあなたは持っている」  息もつけないような激しいキスが降ってくる。 「そうして欲しい」  唇が離れると短い息を吐きながら懇願する。 「寮ではまずいでしょう?」  くらくらする頭で考えようとするけど、何も思いつかない。 「も……どこでもいいよ」  ローが腰に結んでいた布をといて上着大きく開いた。素肌に指を走らせるとぎゅっとその引き締まった腰に手を回して、溜息をつく。  わたしの肌から薔薇の香りが立ち上る。どうしようもないそれを、もう隠そうとは思わなかった。ローが頭を振って欲望の霧を払おうとしている。  そうはさせない。  引き寄せて舌を絡めると、完全に欲望に曇った銀の瞳がわたしを見返す。  ローの舌が唇を離れて、薔薇の匂いの一番強く出る首筋を舐める。  「ん……っ……」  ローが乱暴にガウンのボタンを探って、引きちぎるように外していく。ローの指が直接素肌に触れると、どうしようもなく身体が震えた。肌をローの指がなぞると比類のない快楽に肌が粟立つ。
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