狼は混乱する

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「大丈夫、生きているよ?」  その言葉にローが安堵の息を吐いた。こつりと額同士がぶつかって、もう一度鼻が擦れあう。キスをして欲しくて、少し顔を傾けると意図を悟ったローがキスをしようと目を閉じる。  その時、後ろで咳払いが聞こえた。 「殺されそうになったのは、おれだがな。バカエルフ」  やっぱりパトリックは鬼だった。いや、馬か?鹿?蹴られるか? 「そもそも、ノックしてどうぞで入室しないお前が悪いと思うがね。パトリック。」  わたしはパトリックをきっと睨んだ。ローの腕はわたしから離れない。はだけたわたしの胸にはっと気付いて、乱暴な扱いでぶらんぶらんになったガウンのボタンをぽちぽちと止めている。 「ドアノブに『この先18禁、立ち入り禁止』って札を下げておけ。まあ、入るがな」 「なんで入るんだよ!」 「風紀に反する」  にやりとパトリックが笑う。 「この男、最低だ」  フンとパトリックが鼻を鳴らす。 「いずれ、狼といちゃつく時は邪魔の入らない所でやれ。おれでなければ死んでいたぞ」 「すいませんでした」  ローが恥じ入るように小さい声で呟いた。 「メリドウェンの躾がなってないんだろうさ」 「もう帰れ!……ってか何しに来たの?」
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