狼は混乱する

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 その時、ぴくんとローの耳が立った。  一瞬の後、わたしもその音を聞いた。  力強く羽ばたく鳥の羽の音。一羽じゃない。群れだ。  パトリックが窓の外を見る。 「エルフの王と王子一行が、お前に面会に来るそうだ」  石つぶてをばら撒くように、広場に沢山のグリフォンが舞い降りる。 「最悪だ……」  真っ青になったわたしに、パトリックが爽やか青年風に笑いかける。  明らかにざまあみろだよね。面白がってるよね。  助けなきゃよかった……あのままローの拳をめり込ませておくべきだった…… もう、絶対助けるもんか!  ぐっと拳をにぎって心に誓った。
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