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       名門大学出身でキャリア志向の強いメグは自尊心の高い女だ。  遠藤も初めて会った時はその鼻っ柱の強さにヘキヘキとした。  だが、由紀に懐く姿を見て、メグの素顔に触れた。  その勝気な態度からは想像も出来ないが  実はメグは自分に自信を持ち切れないでいた。  頭がいいからよく考える。思考が早いから、物が見える。  だが、それが誰にも伝わらない。  ・・・誰も自分を分かってくれない。  それがメグを不安定にしていた。  その不安から余計他者を攻撃してしまう。  言葉を尽くせばいいのに、と最初遠藤は思ったが  その端整な容姿と高学歴で初めから拒絶を受けた。  そして、メグもそんな相手をはっきりと拒絶した。  だから、システム部以外の社員はもちろんだが、  打ち解けた部内ですらそんなメグを扱いづらいと感じるようで  一目置くのではなく、一歩引いて付き合っているようだった。  ”過ぎたるは尚及ばざるが如し”  人は使いきれない天才より、使いやすい凡人を好む。  だが、遠藤はメグを拒絶する側の気持ちも分からないではないので  今まではどっちつかずの対応をしていた。
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