side by MIRAI

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梅雨の晴れ間というのかな。 昨日まで降り続いた雨も、明け方には止んだらしい。 久し振りのいい天気。 アスファルトに揺れる木漏れ日が眩しい。 初夏の風の動きに任せた意想外な光の乱射に目を細めながら、ポケットから音楽プレイヤーを取り出した。 さて、と。 イヤホンから流れてくるUKロックに耳を傾けながら、僕は一人、ほくそ笑む。 今日の授業は、午前中だけ。 さっさと家に帰ろうと、キャンパスを歩いている時だった。 ――――――!! 突然、腕を捉まれて、振り返る。 「ああ…。」 イヤホンを外すより先に、 「未来くんっ、ちょっといい?」 堰を切ったように名前を呼ばれた。 彼女の名前は、中西夕夏。 中西さんから声をかけられるなんて、最近では無かったわけで。 「ど、どしたの?」 思わず無遠慮に、中西さんを上から下までじろじろと見下ろしてしまった。
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