3/12
前へ
/40ページ
次へ
       由紀は遠藤への小言を頭に書き込み、  怒りに我を失っているもう1人の子羊と向かい合った。 「メグ、いい?  確かに彼女は自分の手を使ってはいないけど  インクが切れれば、誰かを使い、  事務用品が切れれば、発注している。」  由紀は反論しようとしたメグを片手で制止した。 「重いものは全て、総務の男性社員を使って運ばせてるとしても、ね。」  メグは一気に不貞腐れた顔をする。  そんなメグに少し笑って、由紀は続けた。 「彼女は女ということを武器に仕事をこなしている。  私は何があっても自分の仕事を終えない人はダメだと思う。  だけど、同時にそれがどんな手でも望まれたとおり完遂できるなら  それでいいと思う。」  そんな、とメグは傷ついた。  ・・・由紀なら、分かってくれると思っていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加