沈殿

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蓮見が私を落として何の得があるのか。 貯金はない 地位も、もうすぐ失う。 失う。――そう考えた瞬間、ゾクリと身震いした。 やっぱり、怖い。 蓮見マジックはほんの少しだけだったのか、胸がムカムカとしてきた。 とにかく、何もわからない。 考えようとしても、何も見えてこない。 眠りたくても睡魔は襲ってこないし、お酒で酔いたい気分にもなれない。 不安で、不安で。 ソファの上で身体を抱きしめるようにして丸まった。 夜明けが、――怖い。
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