沈殿

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全く。 「で、ですよ。 かなり彼女にお熱っぽくて。」 「へー」 ダメだ、どうでもいい。 大体、直美はそんな話、毎回毎回どこから仕入れて―― あ。もしかして、と。閃く。 「直美、彼氏出来たの?」 「えっ」 私のその問いかけに、直美の頬がゆるんだ。 「営業なのね」 「はい、まぁ」 だから、蓮見が営業から来るのも知っていた訳か。 その後、散々ノロケを聞かされた私は、すっかり蓮見の事を忘れていた。 何よりもまず、この後の植原との話し合いにばかり気をとられていたから。 午後一に、会議室で植原を待つ。 少し遅れてきた植原に、私は無意識のうちに睨みを効かせていた 「昨日は悪かった、電話に気が付かなくてさ」 大方、直美が言っていた彼女とでも一緒にいたんだろう 「異動だけど。条件を聞かせて頂きたくて」 落ち着いて、ゆっくりと話す 「……あ、ああ」 意外だったのだろう 驚いた顔の植原は、直ぐに表情を持ち直すと新しいブランドの話を始めた。
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