3071人が本棚に入れています
本棚に追加
全く。
「で、ですよ。
かなり彼女にお熱っぽくて。」
「へー」
ダメだ、どうでもいい。
大体、直美はそんな話、毎回毎回どこから仕入れて――
あ。もしかして、と。閃く。
「直美、彼氏出来たの?」
「えっ」
私のその問いかけに、直美の頬がゆるんだ。
「営業なのね」
「はい、まぁ」
だから、蓮見が営業から来るのも知っていた訳か。
その後、散々ノロケを聞かされた私は、すっかり蓮見の事を忘れていた。
何よりもまず、この後の植原との話し合いにばかり気をとられていたから。
午後一に、会議室で植原を待つ。
少し遅れてきた植原に、私は無意識のうちに睨みを効かせていた
「昨日は悪かった、電話に気が付かなくてさ」
大方、直美が言っていた彼女とでも一緒にいたんだろう
「異動だけど。条件を聞かせて頂きたくて」
落ち着いて、ゆっくりと話す
「……あ、ああ」
意外だったのだろう
驚いた顔の植原は、直ぐに表情を持ち直すと新しいブランドの話を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!