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今、売上が厳しいブランドで、ターゲットは30代後半
団塊ジュニア世代をターゲットとした、ロープライスブランドだ
実質、40代が実際のターゲットだろう
なかなか売上が伸び悩んでいるらしく、そこでブランドの立て直しをしてほしいとの事だった
――ロープライス
それだけがやたら気になったけれど、もう致し方ないことだ。
安い、という事は、それほど良い素材が使えないという事
給与も売上が伸びればアップすると言ってくれているし、プライドが傷付く以外は、それほど悪い話ではなかった
――その先を聞くまでは
「それで?
私の後任は誰がやるんです?」
何の気なしに聞いた言葉だった。
「ああ、それね」
何となく、歯切れの悪い植原。
そこそこのキャリアがなければ、会社の基幹ブランドほどの大きさ、維持が出来ないはずだ。
売上が落ちれば、会社の経営も厳しくなる。
自分が外されたからといって、他人事じゃない。
アシスタントのうちの誰かがやるのかと思っていたが、彼女達にはまだ荷が重いだろう。
植原の言葉を待って、目の前にあったミネラルウォーターを一口含んだ
「実は、中途採用したんだ」
「へぇ。どこからです?」
どうも植原の渋りかたがおかしい。
「いや、まぁね。これから育て上げようと思ってるんだけど、感性がある子でね」
【感性】
――ほらまた出た。
「あ、――そ……」
ふと、直美が言っていた言葉がフラッシュバックした
まさか。
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