沈殿

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指先が震えてきた そのまま化粧室に飛び込んで、心を落ち着かせようとするが 落ち着くどころか、怒りが込み上げてきて 怒りの矛先を何処に向ければいいのかわからず、鏡を睨み付けた 悔しい。 悔しい。 ズタズタになったプライド 世の中はなにも公平に出来てない。 私がもっと美しくて、植原に色仕掛け出来てれば違ったってゆーの? ――そんな馬鹿なこと。 出来るわけ、ない。 悔し涙が今にも瞳に滲んで来そうで、必死に胸をさすって落ち着かせる 数分間、ずっとそうしていたら、直美が入ってきた 「あれ?終わったんですか?」 まだ、何も知らない彼女。 うっかりと巻き添えを食らわせてしまったことで、ドキッとした 彼女にも、言わなきゃならない。 「――ごめん、直美」 「へっ?」 言葉が、詰まる。 「どうかしたんですか?」
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