沈殿

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我ながら、それからの業務は上の空。 サンプルチェックも、トワルチェックも、頭の中に全く入って来なかった 異動は月末。春展から入れ換わりで、私はもう次のブランドの準備をしなければならない 空いた時間にインターネットで会社のホームページにアクセス あまりの野暮ったいブランドのホームページを見て、目が点になった こんなんじゃ売れないわよ。 沈んだ気持ちのまま、終業時間が近付いてきた。 目の前で赤いランプが点滅。 「吉住です」 不意打ちだった 「お疲れさまです、蓮見です」 いつもの甘い、声。 突然すぎて、鼓動が突然早まった。 「あ、ああ」 声がうわずっている気がして余計焦った 「お時間、大丈夫ですか?」 「う、うん」
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