沈殿

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妙に勘だけは鋭いヤツだ。 だから直美はお気に入りでもあるんだけれど。 「ちょっとね」 私のその返事に、直美は何も言わずにニヤリと笑う。 ――全く。 「じゃあ、今日は先に帰るわね」 私はそう言って企画室を出た。 きっと今頃は彼女達の格好のネタになっているだろう。 ――もっとネタになる事があるのに、なんてヒネくれた考えで、地図で確認した場所へと向かう。 場所は西麻布。 会社の前でタクシーをとめ、乗り込んだ。 今さら、不備がないか、なんて考えても。 よくわからない。 逃げ出したい気持ちでいっぱいだった
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