7/11
2941人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
とは言ってはみたものの。 利用、というよりはコキ使うしか出来ないわけで。 「こんな安い生地いや。使いたくない。」 企画室に戻って、午後一。 蓮見が持ってきた綿ローンの生地カウンターをほっぽり投げた。 「綿ローンなんて嫌。麻がいい」 「――わかりました。あと、トレンチに使う化繊――」 「化繊だったら、染料役者じゃなきゃいや。」 「ちょっと、吉住さん」 度が過ぎたのか、蓮見の顔がいつになく厳しい顔をしていた。 「靴の件は申し訳なかったと思ってます。 そんなに御機嫌損ねたまんま、やけくそで仕事しないでください」 「――」 なんで、すって。 ――靴? ――御機嫌損ねたまんま、仕事?
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!