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とは言ってはみたものの。
利用、というよりはコキ使うしか出来ないわけで。
「こんな安い生地いや。使いたくない。」
企画室に戻って、午後一。
蓮見が持ってきた綿ローンの生地カウンターをほっぽり投げた。
「綿ローンなんて嫌。麻がいい」
「――わかりました。あと、トレンチに使う化繊――」
「化繊だったら、染料役者じゃなきゃいや。」
「ちょっと、吉住さん」
度が過ぎたのか、蓮見の顔がいつになく厳しい顔をしていた。
「靴の件は申し訳なかったと思ってます。
そんなに御機嫌損ねたまんま、やけくそで仕事しないでください」
「――」
なんで、すって。
――靴?
――御機嫌損ねたまんま、仕事?
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