第1話

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「ミレア様、紅茶はいかがいたしましょう」 「遠慮致しますわ」 「かしこまりました」 年老いた執事は音を立てず、私の部屋を出た。 年老いた執事―…クレンドは私が物心ついた時から一緒にいた。 私はアラン国王の娘。 つまり、姫、ということになる。 名はミレア。 この世を生きて十八年。 食料、衣服、財産。 何も不自由なく生きてきた。 だが、一つだけ足りない。 スリルだ。 父様と母様はこの城から一歩も出しちゃくれない。 私の世界はバルコニーから見える景色。 ただ、それだけ。 国民は口々に言うだろう。 『贅沢三昧もいいところだ』 『私もあんなくらしがしたいわ』 『きっと一生幸せにくらせるでしょうね』 考えるだけで怒りが込み上げる。 何が幸せだ。 軟禁状態にされた先に幸せなんて見えやしない。 怪我をするから外に出るな。 拐われるから友を作るな。 何重もの鎖は私が動くことを奪っていった。
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