第1話

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「…、はぁ…」 バルコニーの手すりに体を任せる。 天気は快晴。 昨日のように散りばめられた宝石のような星と、 金貨のような黄金の満月が見えるだろう。 …キルト様に会えるのかしら… 「ミレア、様…?」 「ひゃあ!!?」 突然の声かけにびっくりした。 クラウド以外の声だったからだ。 そう。 この部屋に入れる人間はもう一人いるのだ。 「レオ!!ノックくらいしてよっ!!!」 レオ。 唯一の友達…といったところだろうか。 レオは私と同い年なのに親衛隊の長を努めている。 一番、頼れて、 一番、失いたくないものだ。 「で、ですがミレア様、ノックは何度もしました…よ?」 レオの目の色は青だ。 とても不思議な青だ。 葡萄の取れる季節の空の色でもない。 広大な海の色でもない。 私はこの青が好きだ。 毎回思うのだが、これが私を守る長なのか。 青い瞳がびくびく怯えている。 「…、考え事をしていたの」 「考え事?」 「えぇ」 またため息をつく。 キルト様に会いたい。 早く。 「あ…」 「どうしたの?」 「ご夕飯ができたことをお知らせしにきたんだった…!!」 また青い瞳が動揺する。 バチンッ、とでこぴんをした。 「ぁうっ!!」 「ほら、早く誘導して下さらない?」 私がそういうとキリッ、とスイッチが入ったように態度が変わる。 「お手をどうぞ」 「喜んで」 私はレオに手を預けた。 また、毎回思う。 彼以外に私を守る長に向いていない、と。
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