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夕食を食べ終え、夕日に染まる町を眺めていた。
「ミレア…またバルコニーにいたの」
「だって綺麗ですもの。このお城から見える景色は…」
お母様だ。
私のブロンドの髪はお母様譲りだ。
地平線の彼方へ夕日が沈んでいく。
その様子を眺めるのも趣味の一つだ。
「私のミレア瑞沙。国ではこんな噂が流行っているのよ」
「噂…ですか?」
嫌な予感しかしない。
今までも噂話をする時は、決まって何かが禁止されてきたからだ。
「なんでも月の出る夜に若い娘の生き血を吸う吸血鬼がでるそうなの」
「!!」
キリト様の…こと?
「…だからミレア」
「何でしょうか」
「今日からバルコニーに出るのは禁止よ」
「え…!!?」
驚きが隠せない。
そんなことをされてはキリト様に会えない。
「貴方が死んでしまうなんて考えられないの!代わりに幾らでも欲しい物をあげるから悲しまないでおくれ…」
「…分かりました、お母様…」
敢えて逆らわなかった。
幸い、鍵を付けられなかったが、下手に逆らえば鍵を付けられる。
そうなると、流石に私がどうにかなってしまう。
「それじゃあ、ミレア。何か合ったら言って頂戴ね」
そう言い残し、お母様は出ていった。
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