第1話

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何を言っているんだ、この子は 確かに僕は死のうとしていた。 でも一瞬で解る事か? あてずっぽうにしては当然という顔をしているし・・・ 「べ、別に死のうなんておもってないよ」 そういって誤魔化そうとしたがこの少女は全てを知っている。 まるで脳をジャックされたかのように本能的に僕はそう感じていた。 だから、こんな嘘も意味がない 「そう、それならいいや」 ・・・は? あまりにもあっさりと引き下がられてしまった。 呆気にとられている僕なんて気にしてない様に少女は言った。 「星をみるんだっけ?ならここはやめといたほうがいいよ」 「・・・なんでかな」 「幽霊がでるから」 ・・・・・・・・。 無言になってしまった僕は悪くないと思う。 は?幽霊? 「幽霊なんて存在するわけないよ」 やっぱりこういう感性は子供なのかと安心した。 不審者とかならまだしも幽霊とは 失笑を禁じえない 「お兄さんは幽霊を信じてないの?」 「そりゃあ、ね・・・」 当たり前だ。 幽霊なんて非現実的すぎる。 「き、君は幽霊を信じているのかい?」 「さぁね、いやこれは信じているとかではないんだよね。だって幽霊はいるんだから」 「いる・・・」 少女は言う。妙に確信めいた口調で。 「幽霊はいるよ。確実に。どこにでもいるしどこにでもいないんだ。その気になればどこにでも現れられる。壁のすきまとか、先生のよことか、私の前にだって、そして、お兄さんのまえにだってね」 そういって彼女は僕をみて笑った。 まるで、自分を嘲笑うかのように なにも分かっていない自分を蔑むように そこで、ゾクリと鳥肌がたった。 そして瞬時に疑問が巻き起こった。 なんで、この少女はここにいるんだ? 親はなにをしているんだ? なんで、少女のサンダルは少しもよごれていないんだ? なんで、今は夜中なのに、親はほっといてるんだよ、ここは汚れているのに サンダルがきれいなんだよ、 なんでなんでなんでなんで ――――――この少女はなんなんだ? 恐怖が、恐怖が体中をかけまわった。 怖い、今すぐにでもここを立ち去りたい 少女は笑う、嗤う、哂う 「ねぇ、お兄さん」 少女は言う。なにもわからない子供に言って聞かせるように 「まだ、わからないの?」 それは、一体どういうことだ?
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