たった1度の I LOVE YOU

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擦り寄ってくるゴンタとしばらくじゃれてから、リードを握って1人と1匹で恒例の散歩。 1人の時間を埋めるために始めた毎日の日課。 もともと趣味もなかったから、娘にすすめられて飼い始めた。 朝と夕方に散歩に連れて行き、餌を与える。 時には話し相手にだってなってくれる、今となっては貴重な相棒。 ゴンタからすれば迷惑かもしれないが、途中で眠ってしまおうがゴンタに向けてひたすら話をすることも増えた。 町内を1周する間に近所の人たちと出会い、公園には飼い主仲間、寂しいことなんて何も無い。 毎日充実しているんだから。 散歩から帰ると家はカギがかかっていた。 娘は会社に出掛けたらしい。 キッチンに用意されている昼食を横目に、洗面台で見つけためがねをかけてさっき読みそこなった新聞を開いた。 午前中はこれで時間が潰れるだろう。 テレビのニュースと同じ内容だななんて思いながら新聞をめくっていると、電話が鳴り始めた。 .
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