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二人きりになった診療所は静かなものだった。
外の小鳥のさえずりや、いつの間にか帰ってきていたキューの鳴き声が聞こえるだけだ。
ユースケは机で居眠りしたり、難しそうな本をあくびをしながら読んだりしていた。
僕もその間、寝たり荷物の整理をしたりした。
そこで今までにもらった花を取り出すと思わず見とれてしまった。
花々は摘まれたときのまま、その美しさを保っており、枯れそうな雰囲気は全くない。
そういえば、モトコ婆の言っていた本当の幸せって何なんだろう……?
ふと思い出した僕がぼーっと考えていると、ユースケが話し掛けてきた。
「あー平和だなー。
お前も口動かさなくていーから楽だろ。
面倒臭くなくていーよなー。」
面倒臭くてしょうがないよ。
僕が困った顔をすると、ユースケはイヒヒと笑いながら天井を眺めた。
「そーいえばさ、
姫とお前って恋人同士なの?」
「っ!!?ゲホッ!ゲホゴホッ!!」
咳込みながら僕はブルブルと頭を横にふった。
「あーそーなんだ。
お前ら仲いいし、てっきり付き合ってるんだと思ってた。」
ふーん、とユースケはまた本を読みはじめた。
そして黙ることしかできなかった僕は、しばらくユースケを見た後、自然と姫のことに意識がいった。
確かに最近が仲良い気がする……。
さっきも僕の言いたいこと分かったみたいだし。
姫って怒るとすごくこわいけど、優しいし、しっかりしてるし、今だって僕のために花を探してくれてる。
姫は……。
と、僕が妄想していると桔梗捜索隊の二人が帰ってきた。
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