序章

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序章

   ――・・・・・・月日の経過は早い。最近はこの山の麓にも、人の民家が侵食してきた。人っ子一人通らなかったこの道も、楽に山越えが出来るようにと舗装された。  そんな環境の変化が原因か否かは解らぬが、己の命も削れてきたように思える。  いずれは儂(ワシ)も斬られるであろう。しかし、このまま倒れるには惜しいほど、面白い逸話は沢山あるのだ。  変化(ヘンゲ)の力は辛うじて残っている。この手がまだ動かせる間に、書物にでも記すことにしよう。  今でこそ知られていないが、かつては一部の者達に陰の英雄と謳(ウタ)われた、ある一人の男の話を・・・・・・――。 天狗道外伝~初許(ハツユルシ)~
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