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よく冷えた11月の下旬。
一瞬意識が飛び、気づくと俺は体育館の天井を見上げていた。
「おい!大丈夫か佐山」
皮肉にも俺のことを嫌っている同級生の男子が、心配そうに俺を覗き混んでいる。
「いっ...」
俺がゆっくりと体を起こそうとすると、教師たちが血相を変えて駆け寄ってくるのが見えた。
はじめての体験で驚いたが、おそらく俺は貧血で倒れたのだろう。
「大丈夫か佐山!」
佐山? 俺は村田だぞ。
「どこもぶってないか?」
教師がとても心配そうにそう尋ねてきた。
「あ...大丈夫です」
ん? 俺が喋ってるはずなのに声が俺の声じゃない...って俺なんでスカーとなんて...えっ、いや、えっ?
そしてまた俺の意識はだんだん薄れていった...
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