第1話

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ガヤガヤと騒がしい休み時間の学校。 人と人の話し声でエアコンの駆動音も聞こえない。 ……いや、たんに離れたからだろうか。 「この前な、公園で久しぶりに缶蹴りしたんだよ。二人だけでやったんだけど、これが案外面白かったんだ。今度皆でやろうぜ。な、カズ?」 自分の定位置であった所を横目で見て、しばしの間眺めた後に僕は、正面を向く。 「うん」 つまらなかった場所につまらなかった時間。 嫌で嫌で仕方なかった場所。 でも、そう思っていたのは僕だけだった。 今思えば、過去に誰かが何度も手を伸ばしてくれていたんだ。 それを拒んだのは僕だ。 否定したのも僕だ。 見てみぬフリをして、不幸だと嘆き周囲を憎んでしまった。 全てが過ちだ。 だから改める。 見方を変えてみる。 そうすれば、少しは何かが変わるだろう。 楽しくなるだろう。 「今日の帰りにでもやる?」 辛くて苦しくて、頑張って努力して前に進む。 その結果として、笑うか泣くか。 学校ってそんなものだと思う。
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