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「楽しかった楽しかった!久しぶりに、カズと遊んだわ!!」
新一は、勢いよくベンチに座る。
「って言っても、また僕にホッケー負けたけどね」
「なっ!それは、関係ないだろ!」
「他のゲームでも新一弱かったなぁー。張り合いがなかったよ」
「それくらいにしてくれ。泣きたくなる」
大袈裟に俯いた新一の頭に僕は、オレンジジュースを置いた。
「ありがとう」
それを受け取って飲み始めた新一の隣に座る。
僕も、それを飲み始めた。
今度は、歯切れのいい音だった。
「なぁカズ」
「何?」
「怖かったか?」
質問の意味が分からなくて新一の方を向くと、新一は、僕の顔を見ずに前を向いていた。
前を向いて、何処か一点を見ているようだった。
「お前は、俺が怖いか?」
新一は、前を向いたままジュースを飲む。
「……いいや、怖くない」
僕も前を向いて新一と同じように飲んだ。
人が少なくなった公園は、夕日の柔らかい光に照らされて鮮やかな朱色に染まる。
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