第1話

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「新一は怖くないよ。一緒にいて楽しいし、面白い。僕は、今日いっぱい笑えた。久しぶりに笑った。ずっと、ずっと、気持ち悪かった。学校にいる自分が、本当の自分じゃないように思えて、だけどその感覚にずっとひきずられたままだった。抗おうにもそれが自分の一部で自分自身なんだって思えて、何もしなかった。今日はその感覚がなかった。気持ちよかったよ」 揺れるブランコやシーソー、鉄棒にすべり台。名前の知らない遊具達。 そして、何よりも右手に握るオレンジジュース。 全てを懐かしく感じる。 一口飲んだオレンジジュースの味が、ゆっくりジワジワと染み渡る。 中学生の頃、ここで缶蹴りをしていたことを思い出した。 僕は、中に入った液体を全て飲み干して立ち上がる。 「話そうカズ。明日、学校で俺と話そう。休み時間に」 僕は、新一の顔を見た。 何を言ってるんだと思いながら。 「ぼ、僕に喋れっていうの?皆の前で?そんなの無理だよ」 「分かってる。だけど、それじゃいけないんだ」 新一は、ゆっくりと立ち上がり、僕を見て言った。 「だから、少しずつ、ゆっくり。俺達なりのスピードで話して、いつか笑おう」 何故だろうか。 新一の言ってることは、一方的で、僕の気持ちなんて考えてないのにーー 「いきなり変わるのは無理さ。だから、少しずつ変わろう」 ストンッ、と胸のうちに落ちてきた。 「……努力…するよ」 「そうか」 新一の声と少しの間の後に新一は、右手に持っているオレンジジュースを飲み干した。 そして、地面に置いた。 そしてーー
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