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頭が混乱して、ついていけない。
でも、目の前にいるのは。忘れる筈もない。
「高橋くん?」
紛れもない、彼なのだ。
「そうだよ、“高橋くん”だよ。…もしかして、忘れていた?」
「はあぁっ!? なに言ってんの!」
忘れてなんかないよ。
(…てか、忘れる筈ないし)
彼はあの頃に比べて、背が更に伸びていた。まあ、男の子だから仕方がない。服装も少し大人びたものを着ている。
まあ…5年も経ったのだから、そういうものなのかな…。
…………………なんて。
「あはは、良かったぁ。瑞穂さん忘れているかと思ってたよ。でもちゃんと覚えていてくれて……痛っ!」
あたしは変わらない話し方の高橋くんの“すね”を思いきり蹴った。
案の定高橋くんはとても痛がって、その場ですねを抱え込むように踞った。
それを見たあたしは、ふんっと、鼻で笑う。
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