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踞っている彼は涙目で、上目遣いであたしを見た。
…仕方無いよね。
「……これは、罰だから」
そう言われた高橋くんの表情は、驚いていた。
なんの罰なのか、解っていないように。
「え、罰って…。なんの事?」
やっぱり高橋くんは解っていなかった。
「あたしのこと、放っていたでしょ」
「………え?」
「あたしら友達なのに、なんの音沙汰しなかったじゃん!」
「…でも、僕は何度か会ったよ」
「……?」
最初は、なんのことか分からかった。
…あ、もしかして。あの教室の、彼?
あの教室で会った現実の彼は昏睡状態の筈だった。だからあの日の彼はあたしの幻覚と思っていた。
……最後に触れられたのは、どうしてかわからないけれど。
高橋くんはまだすねを擦っている。
あたしが訊こうとした時、高橋くんの方が先に口を開いた。
「……僕、夢の中か分からないけれど、瑞穂さんに会ったんだよ」
そう言った彼の顔は、懐かしそうだった。
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