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三階にあるうちの教室の前に着いた。何故か引き戸が開いていたので、そのまま入った。
廊下側の一番後ろにある私の席に一度座る。机の中を見ると、そこにちゃんと私の今月の部費が入っていた。
お金が盗まれていないのを確認して、今すぐ戻ろうと立ち上がる。
窓から強い風がビュウッ…と、私に当たった。ふと窓を見ると──“彼”が居た。
彼は目を細め、窓際の自分の机に指先で触れている。私が見ているのを彼は気付いたようで、顔をこちらに向けた。
「……こんにちは、瑞穂さん」
前と相も変わらない表情で、私に挨拶をした。
「あ、…うん。こんにちは、高橋くん」
すると彼は、一瞬驚いた顔をして、また目を細め、笑った。
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