放課後、教室、君

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「…本当?」 「本当だよ」 彼は、一度視線を下に移した。 「嘘じゃ…ないよね」 「うん」 「また、会話が出来る?」                「……うん」 彼は、顔をゆっくり上げる。 「…だから、また会える日まで……またね」 …………それでも私は、笑って言い返す事が出来ない。…そういえば、最初に会ったときも、ちゃんと挨拶出来なかった。 確か、そのとき、たまたま機嫌が悪かったんだよなあ…。でも彼はちゃんと挨拶してくれた。 私に話し掛けてくれた。 いつから、こんなに他人行儀になったのだろう。 あたしだけ。 「瑞穂さん」 「…………なんですか」 あー…。もう、本当こんな…。彼のあたしを呼ぶ声で泣くなんて、ガラじゃないのに。 あたしはジャージで涙を拭った。でも、まだ顔はジャージから外さない。 すると彼は困ったように、笑う。 「瑞穂さん」 「………………なんですか」 彼の言葉に応えたとき、彼の匂いがあたしを包んだ。というか、抱き締められた。 あたしが「え、なんで?」と思ったとき、彼はあたしを離して、顔が見えるようにあたしの顔を覆う腕を優しく下ろした。 「瑞穂さん、ごめんね。僕、嘘吐いた」 「……え」 「もしかしたらもう二度と、瑞穂さんと会話が出来なくなるかもしれない。」
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