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涙が、頬を伝う。
「…え…なんで」
「……………ごめんね」
「い、嫌……」
彼も、目に涙を溜めていた。あたしはイヤイヤ言っていると、このとき、あたしは今思った疑問を、彼に話した。
「…ねー、高橋くん」
「なに、瑞穂さん」
「なんであたし達、今触れられているんだろう」
「え…ああ、本当。なんでだろう」
私達は、自分達の繋いだ手を見た。あたしの右手と、高橋くんの右手。あたしの左手と、高橋くんの左手。
………触れて、少し彼の指と指の間に自分の指を入れて…絡ませて。
「…………瑞穂さん、なにしてんの」
「あっ、いや…触れてるな…と思って」
「………そうだね。最後、なんだろうね」
「最後？」
「うん。こうして、会えることが。」
彼が、すこし体を屈んで、顔を近付ける。あたしは届かないので、つま先立ちをして、あたしの額と彼の額をこつん、と、くっつけた。
すると彼は、驚いた顔をした。
「え…ちょ、瑞穂さん」
「…なにー」
「ムード。今の、こういうムードじゃ、無かったでしょ」
「え…嘘。こういうムードでしたよ。高橋くんは、なにが良かったの」
「え──…。キス、でしょ」
「きゃー、むっつりスケベ」
「………うるさいよ」
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