それはもう、突然に。

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放課後。 奏と亮は、部活。 そして、私はそのマネージャー。 ダン、ダン、と体育館にボールが跳ねる音が響いて、前を向くと、汗を流しながら走り回る2人。 「やっぱりカッコいいですよね、奏先輩と亮先輩って。」 「ね、本当に。」 そう言って来るのは、後輩のマネージャー。 そして、後ろを向かなくても、嫌と言うほど聞こえてくる黄色い声。 人気者って、嫌だな。 そう思ってしまう自分も嫌。 「痛っ!!」 デコピンされたおでこを押さえながら、前を見てみると、イジワルな顔をした奏が立っていて。 「美依。飲み物頂戴?」 「あっごめん…。」 ぼぅーっとしていて、休憩に入っている事に気がつかなかった。 「ありがと。」 慌てて渡すと、爽やかな笑顔を返されて、後ろはまた歓声があがる。 その姿に、ワンコは全くいない。 「本当に、王子様ですよね、奏先輩って」 後輩マネージャーが言うとおり、本当に王子様みたいだ。 普段は、ワンコみたいに甘えてくるくせに… 生意気な奴。
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