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連れてこられた場所は、奏と約束していた門の前。
「泣かないで、俺、美依の涙に弱いから。」
そう言って、亮は私の涙を親指で拭う。
私は、涙が出ていることに、驚いていた。
だって、こんなの、奏が告白されている事なんて、よくある事だから。
なのに、どうしたんだろ…私。
なんで、泣いているの?
「ご、めん…。」
どうしても、涙が止まらない私に、亮は優しく微笑み、首を横に振った。
「みぃー!!」
すると、奏の声が聞こえてきて
「ワンコ登場。」
亮はまた苦笑。
奏は、ダッダッダ。と走ってきて、私は、ぎゅーっと抱きしめられた。
「ごめん、待たせて。」
そして、私は首を横に振る。
「じゃ、邪魔者は消えるか~。美依、ワンコ、また明日」
そんな中、亮は私達とは家が反対方向だから、私達に背を向け、消えていく。
暫くの沈黙の中。
「みぃ、帰ろ。」
「うん…。」
奏は、私の手を引きながら、歩き始めた。
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