28人が本棚に入れています
本棚に追加
フィンの言葉に、ミリも驚いたまま、さらに目を見張った。
二人して見つめた森の奥から、ソレがぞろぞろと現れたのは直後のことだった。
「うひぃっ」
「〈鋼蟲-メタルインセクト-〉」
金属のような甲殻に包まれた虫のクリーチャーが大量に押し寄せてきたのに、ミリが引きつった悲鳴を上げ、フィンが冷静に言った。
個体差はあるものの、手のひらに乗るくらいの大きさのクリーチャーだ。
小さいが、飛んだり地面を這ったり。ギチギチと不気味な鳴き声を合唱させて、大群で一気に押し寄せてくる光景は、おぞましいことこの上ない。
一体に六つある〈鋼蟲-メタルインセクト-〉の目は、暗がりに赤く輝く波のように集まり、フィンとミリを飲み込もうとしていた。
「敵意が剥き出しだ。ミリ、手伝って――ミリ?」
突然の事にも対処しようと、ワンドを構えて、フィンが辺りを見回す。
ミリはフィンから離れて、顔を手で覆いながら木々の隙間へ向かって逃げていた。
「アタシ虫、虫はダメなんですの。ご主人様、頑張って下さいまし」
「ミリの嘘吐きっ」
ミリがあっさりとフィンを裏切るのと、〈鋼蟲-メタルインセクト-〉がフィンに飛びかかったのは同時だった。
最初のコメントを投稿しよう!