プロローグ

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宮里キリカが、高校三年生になると、友人達には彼氏持ちが増えた。 今日も友人の秋穂との下校途中に、彼氏の話題が持ち上がる。 その瞬間が、キリカにとっては憂鬱であった。 「それで、この前さ。水族館にデートに行ったのよ」 キリカは、秋穂の話に頷きながらも上の空で秋空を見上げる。 「見て、見て。これ彼と同じキーホルダーなんだ」 「そう、良かったね」 「もう。キリカも彼氏を探しなよ。B組の安田君なんか良いと思うんだけど」 「私は良いよ。受験で頭が一杯だから」 キリカは、秋穂の心配そうな言葉とフリーの人物を勧めて来る表情を一瞥して、そう言った。
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