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「―ばき、起き――遅刻―るよ~」
椿「んー…止めてよー婆ちゃん、
あと少しだけ…」
春眠、暁を覚えず…うん分かるよ
その気持ち。何で春ってこんなに
眠いんだろう、何て思っていると
頭上に溜め息が落ちてきた。
揺さぶられる身体に眉を寄せる。
「も~、しょうがないなぁ…俺も
一緒に遅刻してあげる~」
ん、あれ…婆ちゃんこんなに声が
低かった…もしかして爺ちゃん?
爺ちゃんの声って、こんな間延び
した口調だったかな、
…そんな事を考えているうちに
掛け布団が捲られ、ベッドが沈み
軋む音が耳に入った。
あれ待てよ、そもそも婆ちゃん達
は大阪住みだぞ、私は京都住みで
独り暮らしだし…え、じゃあ誰!?
眠気なんて何処かに飛んでった。
嫌な汗が。恐る恐る目を開けると
烝「Good morning、…椿ちゃん」
整った顔立ちに爽やかな笑顔を
浮かべた幼なじみが至近距離に。
一瞬、思考が停止した…幼なじみ
山崎烝は綺麗な顔をしているが、
戸籍上は男だ…男なのだ。大事な
事なので二度言わせて貰ったが、
そんな雄が、独り暮らしの女子の
寝室に入り込んでいたらどうだ。
烝「中学のジャージが寝間着って
女子力皆無だね~はははっ」
笑い声とともに、ペラリと布団を
捲られ、一気に頭が覚醒した。
椿「んぎゃーー出てけーーッ!!!」
叫ぶに決ってるよ。毎度の事でも
―――こうして私の1日が始まる
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