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女が独り暮らしをするのは、危険
だということで、初め爺さん達は
首を縦に振らなかったのだが、烝
が近くにいるなら安心だと、結構
良いマンションに引っ越した。
椿「あのーもうちょい普通に起こ
してくれてもよくないっすか?」
また、こうして朝が弱い椿は烝に
毎度、起こして貰っているのだ。
椿「…しかも、私の愛用ジャージ
を馬鹿にしよってーッ」
勝手に部屋に入られた事よりも、
三年という日々を共に過ごした
愛するジャージを貶された事の
方がお怒りらしい。
鍵をかけながら、壁に寄り掛かり
携帯を弄る烝に言えば…
烝「普通に起こしても、起きない
でしょ~椿は。それともなぁに、」
ドンッ…と、音と共に視界が陰る
横を見れば腕があり、後ろを見た
ら逞しい胸板があって…
烝「口付けで起こして欲し…う"」
アホな奴には肘をくれてやるぜ。
見事、鳩尾に入り烝がよろめいた
爺さん婆さん達よ…危険なのは、
烝の隣のほうでした。
烝「毎日、起こしてあげてるのに
これは酷くない~?」
踞って咳き込む奴が、腹を押さえ
涙目で見上げてきた…垂れた眉。
いつものような、余裕な態度では
ない弱々しい雰囲気、
ま、まあ…少しやり過ぎたかなと
手を差し出せば、烝が手をとって
…思いっきり引っ張った。
油断していた私は、そのまま廊下
にべちゃりと転んだ訳で…烝は、
そんな私を見下ろして嘲笑った。
烝「ふふっ…まだまだ甘いね~」
なんて手を振って、エレベーター
に乗り込んだ。
あ、あんにゃろ―いけ好かん!!!!
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