―奮起―

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土「ゴラァーッ、お前らぁそこで バットを振るんじゃねー!!!」 大声で叫ぶ土方に、耳をふさいだ 椿「今日の土方さんは、いつにも ましてピリピ…ごほん。仕事熱心 でございますねー」 土「当たりめーだろ、近藤さんが 寝坊で遅れてんだ。俺が代わりに カバーするしかねぇだろ…会長 が腑抜けだと思われねぇように」 土方さんも苦労人だなと、苦笑い を浮かべた。 土「そういえばよ、朝から烝の姿 が見当たらねー「ああーッ!!!」 …声を上げれば、顔を顰めた土方 さんに頭を叩かれた。 自分だって、大声で叫んでたじゃ ないかとジト目で睨むが、そんな 事をしてる場合じゃなかった。 何かを忘れてたと思ったら、烝を 忘れてきちゃった。これはマズイ 土「お、おい…大丈夫かお前」 土方さんが何か言っていたが、今 の私には何も聞こえなかった。 …とにかく、どうやって迫りくる 恐怖から逃れるかを考えていた。 そうだ。ギリギリまで土方さんに 側に居てもらおう、そうしよう!! 我ながらいいアイディアだ。 椿「土方さん、烝が…」 後ろを振り返る。そして真後ろに 立っていた人物に体が固まった。 烝「俺がどうしたの~椿ちゃん。 土方さんなら見回りに行ったよ」 笑顔なのに目だけが笑ってない。 背負う黒いオーラに思わず、ヒッ と間抜けな声が漏れた。 椿「お、おはようございます…」 引き攣る笑顔と、上擦る声で咄嗟 に挨拶をすれば烝の笑みが、更に 深くなったような気がした。 取り敢えず―――――逃げよう。 回れ右をして全力疾走した。遠く で土方さんの怒鳴り声が聞こえ た気がしたが、今はそれ所でない
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