576人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
「莉子ぉ…。本当に大丈夫?」
久し振りにやって来た学校
お昼休み、中庭のベンチで一緒にご飯を食べている片瀬真由美(かたせまゆみ)が、会った途端心配そうな表情で私の顔を覗き込んできた
お弁当を広げ、曖昧に笑う
「何とか」
「………だったらいいんだけど…」
納得してなさそうな表情
でもそれを否定出来るほどの元気もなくて、黙って手元のお弁当箱を見下ろした
「休みの間の遅れはちゃんと取り戻すから、大丈夫だよ」
「ねえ。今度の休み、どこか遊びに行かない?三連休だし、パーッと………」
気を遣ってもらってるのが伝わってくれば伝わってくるほど、生きていることが申し訳なく感じる
「無理…だよね………。ゴメン…」
真由美はそれ以上、何も言わなかった
そして、放課後―――
「ね。あれって、明らかに部外者じゃない?」
わざわざ、私のクラスまで迎えに来てくれた真由美
彼女が指した方向を見ると、校庭が見える窓の向こう…校門のところに、私服姿の男の人が立っていた
ここは3階だから、校門までは少し距離がある
目を凝らしてよく見てみると、見覚えのある姿―――
最初のコメントを投稿しよう!