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「真由美、ゴメン!私、先帰るね!」
鞄を引っ掴み、慌てて駆け出した
階段を一段飛ばしで駆け降り、靴箱で靴を履き替える時間ももどかしい
靴箱の中に上靴を適当に投げ入れ、ローファーに足を突っ込んで床に2、3回打ち付ける
右側はすぐに履けたけど、左側は踵(かかと)が少し潰れていてうまく履けない
足を上げ人差し指で踵の部分を整えると、一度大きく深呼吸をして校舎を飛び出した
門の前では、教室から見た時と同じ体勢のままの山神さんが立っている
「あのっ………」
肩で大きく息をしながら声を掛けると、彼は静かにこっちを向いた
「そんなっ…トコに居るとっ………通報…されますよっ…」
靴箱で立ち止まった以外全速力で走ってきたので、呼吸が乱れ上手く喋られない
「君を―――」
ためらいがちに開かれる唇
「莉子ちゃんを待ってたんだ」
私―――?
どうして私を待つ必要があるんだろう
しかも、昨日初めて会ったのに―――
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