第2章

3/7
576人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
「真由美、ゴメン!私、先帰るね!」 鞄を引っ掴み、慌てて駆け出した 階段を一段飛ばしで駆け降り、靴箱で靴を履き替える時間ももどかしい 靴箱の中に上靴を適当に投げ入れ、ローファーに足を突っ込んで床に2、3回打ち付ける 右側はすぐに履けたけど、左側は踵(かかと)が少し潰れていてうまく履けない 足を上げ人差し指で踵の部分を整えると、一度大きく深呼吸をして校舎を飛び出した 門の前では、教室から見た時と同じ体勢のままの山神さんが立っている 「あのっ………」 肩で大きく息をしながら声を掛けると、彼は静かにこっちを向いた 「そんなっ…トコに居るとっ………通報…されますよっ…」 靴箱で立ち止まった以外全速力で走ってきたので、呼吸が乱れ上手く喋られない 「君を―――」 ためらいがちに開かれる唇 「莉子ちゃんを待ってたんだ」 私―――? どうして私を待つ必要があるんだろう しかも、昨日初めて会ったのに―――
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!