577人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
※※※
息を切らせて走ってきた莉子ちゃんを見て、思わずドキッとした
肩で息をしていた彼女が、手の甲で口をグイッと拭(ぬぐ)ったからだ
汗で額にへばりついた髪の毛を指先でつまんでいる仕草も、やけに色っぽい
女の子なんだ―――
どこから走ってきたのかは分からないが、きっとかなりの距離を全力疾走したんだろう
華奢な身体を上下させ、一生懸命呼吸を整えようとしている
「莉子ちゃんを―――待ってたんだ」
そう言ったら、ものすごく嫌な顔をされた
だから、昨日…あれからずっと気になってたことが、口をついて出る
「一人で居たら、きっと泣いてるだろうと思って―――」
「―――泣いてません」
明らかな拒絶
どうやったら、この子に受け入れてもらえるんだろう…
やっぱり、ちゃんと言うしかないんだろうか
最初のコメントを投稿しよう!