第2章

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「あのさ―――」 「私は………平気です」 俺の言葉を遮り、彼女は自分に言い聞かせるようにそう言った 「だから、私には―――」 スカーフをギュッと握る彼女の姿を、目を細め眺める 「………私には………関わらないで下さい」 段々と俯き、言葉の最後は消えてしまいそうなほど小さかった 「嫌…って…」 「え?」 「嫌だって…言ったら、どうする?」 勢いよく顔が上げられる 彼女の瞳が揺れていた どうやったら、笑ってもらえるんだろう 「私は山神さんのこと…何も知りません」 「昨日、会ったばっかりだしね」 「そうじゃなくてもっ………」 一瞬語気が荒くなったが、何を思ったのか黙って首を振った後は、また俯いてしまった
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