576人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
「あのさ―――」
「私は………平気です」
俺の言葉を遮り、彼女は自分に言い聞かせるようにそう言った
「だから、私には―――」
スカーフをギュッと握る彼女の姿を、目を細め眺める
「………私には………関わらないで下さい」
段々と俯き、言葉の最後は消えてしまいそうなほど小さかった
「嫌…って…」
「え?」
「嫌だって…言ったら、どうする?」
勢いよく顔が上げられる
彼女の瞳が揺れていた
どうやったら、笑ってもらえるんだろう
「私は山神さんのこと…何も知りません」
「昨日、会ったばっかりだしね」
「そうじゃなくてもっ………」
一瞬語気が荒くなったが、何を思ったのか黙って首を振った後は、また俯いてしまった
最初のコメントを投稿しよう!