第3章

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※※※ 「ナーオーッ」 「おー?」 名前を呼ばれ、読んでいた漫画から顔を上げる 同じサッカー部の宮本貴志(みやもとたかし)が、開いている窓の枠に手を掛け、教室を覗き込んで声を掛けてきた 「今日、サボらずにちゃんと来いよ!」 「うえーっ…。そんなこと言いに、わざわざ来たのかよ」 苦い表情をしてみると、ムッとして教室に乗り込んでくる 「お前さぁー。レギュラーなんだから、ちゃんと練習出ろって。下級生に示しがつかないだろ」 「スパイク忘れたー」 ヘラッと笑った瞬間、勢いよく漫画を取り上げられた 角で叩かれ、頭頂部に痛みが走る 「―――――ってぇ!!!頭割れたら、どうしてくれんだよ!」 目尻に涙が滲(にじ)む 「………ツラいのは分かるけどさ…。お前がそんなんじゃ、アイツ…いつまで経っても報われないだろ…」 「………分かってるよ」 分かってるけど… こればっかりは、どうしようもないんだ 「なぁ…」 「あ?」 俺の机の上に座り、取り上げた漫画をパラパラとめくっている宮本に声を掛けた
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