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キキィィィィ―――――ッ
耳障りな音が、すぐ傍で聞こえる
だけど、頭に響くほどのブレーキ音も、今の私にはフィルターがかかったようにボヤけていた
いきなり左腕を掴まれ、後方に引っ張られる
「あ」
言葉に出来たのはそれだけ
私は勢いよく後ろに倒れた
でも、どこにも衝撃は無い
むしろ、何かに優しく受け止められた感じだ
バタンという音がして、運転席から年配のおじいさんが転がり出てくる
「だっ、大丈夫かい?!」
その言葉が私に向けられたものだと気付くまで、しばらく時間が掛かった
「急に飛び出しちゃダメだろ!えっ…と、警察に電―――」
「大丈夫です」
「え?」
「大丈夫だから…連絡しないで下さい。それに―――」
笑顔を作ろうと思っているのに、頬が引きつる
笑顔って、どうやって作るんだっけ…?
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