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※※※
あんなに高かった日も西に傾き、東の空が夜の闇に染まり始めた5時頃―――
バタバタと走ってくる音が近付いてくる
薄暗い校庭に顔を向けると、足音の主は莉子ちゃんだった
東の空の色に負けないほど真っ青な顔で、目が合うなり俺の胸に飛び込んでくる
「えっ!り…莉子ちゃん?!ど…」
『どうしたの?』と出掛かった言葉は、呼吸と同時に喉の奥へと滑り落ちていった
胸の前でギュッと鞄を握り締めている彼女の体は、小刻みに震えている
耳を澄ませば、カチカチと歯が鳴る音も…
「大丈夫?」
彼女の両肩に手を乗せ、耳元で…出来るだけ優しく、囁くように聞いた
「莉子…ちゃん?」
体をガタガタと震わせ、握り締めた鞄に爪が食い込んでいく
子供が『いやいや』するみたいに、ただひたすら頭を振る彼女
「………い」
「え…?」
何かを呟いたみたいだが、何を言っているのか聞こえない
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