第3章

8/12
577人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
※※※ どれぐらいの時間、泣き続けただろう まだ夕焼けで赤紫色だった空は、辺り一面を黒く染めていた 「もう…大丈夫?」 どことなくフワフワした感覚に包まれていた私は、その声で我に返った 顔を上げると、優しい笑顔で私を見下ろす山神さん 「え………あっ!ご、ごめんな…さ…い………」 ギュッと握り締めていたのは、彼のシャツ 私の涙でビショビショだ 「―――っ、シャツ…。す、すみません!あの…洗って返します。だからっ!」 「だから―――何?ここで脱げって?」 首を傾げ、悪戯っぽく笑う 「あ………。そう…ですよね………」 「莉子ちゃんって、もしかして天然?」 「ち…違います!」 慌てて否定した後、『多分』という言葉を、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で付け加えておいた まだ2回しか会ってない人の前で大泣きして、しかも着ている服まで濡らしてしまうなんて、最低だ
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!