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恥ずかしい―――
思わず俯く
足元には私の鞄
手を伸ばそうとしたら、先に山神さんが拾って鞄についた汚れを落としてくれた
「あ…。ありがとう…ございます………」
「どういたしまして。ところでさ」
『はい』と、笑顔で差し出してくれた鞄を受け取り首を傾げると、照れたような表情で後頭部を掻きながら私を見る
「あの………。俺達同い年なんだから、敬語とか『山神さん』っていうのは辞めない?」
「え…。あ………。同い年…なんだ…?」
「うん、そー。だから、変な感じだしくすぐったいから、これからは違う呼び方で呼んでよ」
何て呼んだらいいんだろう
「違う呼び方………。山神…くん…?」
「硬い!硬過ぎるよ、莉子ちゃん!もっと、砕けた感じで!」
山神くんの叫び声に体が竦んだ
「あ…ゴメン…。ビックリさせるつもりじゃなかったんだ」
「ん…。ちょっとだけ…ビックリしたけど………大丈夫」
跳ねあがった心拍数を落ち着かせようと、自分の胸を撫でる
「あ」
「え………何?」
「今…笑った」
山神くんの顔が、ふにゃっと崩れた
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