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※※※
きっと彼女は天然なんだろう
イタズラ心に、火が点きそうだ
だけどからかうと顔を真っ赤にして困るから、ほどほどにしてあげないと
「尚輝だよ」
そう言うと
「尚…輝………?」
と、潤んだ瞳で俺を見上げた
そんな目で見るなんて、反則なんですけど………
「やっ…ちょっと待って」
停止を求めるようにビシッと手を前に突き出すと、彼女は不思議そうな顔で俺を見る
「いや………その…。尚輝って呼ばれるのって、何か付き合ってるみたいだし…その…。『尚輝』っていうのは…ちょっと…」
莉子ちゃんに、少しでも笑顔になってほしい
その一心で笑いながら言ったのに、彼女の表情が曇った
「どうしたの?」
「………」
「ゴメン…。何か機嫌損ねるようなこと、言ったかな…?」
問いかけても、一向に返事は返ってこない
「私、彼氏が居るから―――」
「え?」
「彼氏…居るから!だからっ、山神くんと付き合ってるとか…そんなの―――」
莉子ちゃんは、それだけ言い残して走り去ってしまった
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