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「彼氏…」
走り去る彼女の後ろ姿を見つめ、呟く
もう何回、こうやって走り去る姿を見送っただろう
『彼氏が居る』
莉子ちゃんの言葉が頭に響く
「『彼氏が居る』…か」
もう一度呟き、空を見上げた
頭上では、半分に欠けた月が青白い光を放っている
これからどんどん欠けていくその姿は、今の彼女や俺を表しているようで居心地が悪い
身につまされる思いだ
「しっかりしろ!」
気合を入れるため、両方の手のひらで頬をパンッと叩いた
莉子ちゃんの笑った顔………可愛かったなぁ…
「…って!何考えてんだよ、俺―――」
1人声を出し、自分にツッコむ
これ以上ここに居て怪しいヤツに間違われるのも嫌なので、チラッと校舎を見上げ、その場を後にした
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