第3章

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「彼氏…」 走り去る彼女の後ろ姿を見つめ、呟く もう何回、こうやって走り去る姿を見送っただろう 『彼氏が居る』 莉子ちゃんの言葉が頭に響く 「『彼氏が居る』…か」 もう一度呟き、空を見上げた 頭上では、半分に欠けた月が青白い光を放っている これからどんどん欠けていくその姿は、今の彼女や俺を表しているようで居心地が悪い 身につまされる思いだ 「しっかりしろ!」 気合を入れるため、両方の手のひらで頬をパンッと叩いた 莉子ちゃんの笑った顔………可愛かったなぁ… 「…って!何考えてんだよ、俺―――」 1人声を出し、自分にツッコむ これ以上ここに居て怪しいヤツに間違われるのも嫌なので、チラッと校舎を見上げ、その場を後にした
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