第4章

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※※※ 「莉子、何かいいことあった?」 晩ご飯の時、お母さんがニコニコしながら聞いてくる 「………別に…何も…」 「あら、そぉ?お母さんの勘違いかしらね。ごめんなさい」 お母さんの言葉に、黙って首を横に振った お父さんが早くに亡くなっていて、今はいわゆる母子家庭 母1人娘1人の、寂しい食事風景 だけど、こんな光景もごく最近のこと 毎日夜遅くまで仕事をしていたお母さんは、ある日を境に早く帰ってくるようになった 早く帰ってくるようになった原因は、私――― 「お母さん」 「なぁに?」 「私、就職することに決めた」 お箸を置き、お母さんの目を見て話す 「え…、でも…。薬学科のある大学に行きたいって…」 お母さんなら、どんなにお金が掛かっても私を大学に行かせてくれるだろう でも―――
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