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「待ってないよ。それに私も―――昨日、随分待たせちゃったし」
話題を逸らせようと、この前の話を引き合いに出す
「え?昨日?昨日は別に、俺が勝手に待ってただけだから。それに…」
何だろう?
「女を待たせるなんて、最低じゃん。男が女を待つのが普通だろ」
腰に両手を当て、真っ赤な顔をしてそっぽを向いた
一生懸命…恥ずかしいの、我慢して言ってくれたんだろうな…
そう思ったら、自然と頬が緩む
「それなら、私も…。今日来るか来ないか分からないのに、何か待ってなきゃ…って思って勝手に待ってたの。だから、山神くんは悪くないよ」
「来るよっ!だって、俺―――。あ…れ?俺、ずっと待ってるって言わなかったっけ?」
「うん、昨日だけ」
「うわ―――――っ!俺、ダメダメじゃん!」
ガバッとしゃがみ込み、頭を抱えた
一体、何が『ダメ』なんだろう
でも、ま…いっか
「ね。山神くん」
「んー?」
相変わらず頭を抱えたまま、目線だけ私の方を向く
この人になら話せるかもしれない
たった3回しか会ったことのない、この人に…
そう思って、口を開いた
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