第1章

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※※※ 「どいてもらってもいいかな?」 俺の目を見ているようで何も見ていない、虚ろな瞳 そんな彼女に優しく声を掛けた 「あ………。ごめんなさい」 フラフラと立ち上がろうとする彼女 サッと立ち上がって、彼女の手を引く 「ありがとう…ございます…」 引きつった笑顔 「どういたしまして」 ペコッと頭を下げる彼女の頭を見下ろした 目の前の彼女は、そのまま消えてしまいそうだ あらゆる動作すべてに生気がない 「あの………」 ためらいがちに顔を上げる 「お名前…どんな漢字書くんですか?」 「漢字を知りたいの?」 そんなのを聞いてどうするんだろう…と思いながら、丁寧に教える 「ありがとうございます」 「君は?」 「え?」 「君の名前は―――?」
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